みなさんは『YGエンタテイメント』をご存知でしょうか。江南スタイルで一世風靡した
「PSY」や、日本新人レコード大賞を受賞した「BIG BANG」、4 人組ガールズグループ
の「2NE1」など、数々の有名アーティストを世界に送り出した韓国を代表する音楽事務所
です。所属アーティストは、アジアだけでなくアメリカやヨーロッパ各地でも活躍し、世
界中のメディアから注目を集めています。しかし『YGエンタテイメント』は、アーティス
トたちを世界進出させるにあたり、特別な広告を打つなど大々的なプロモーションは行って
いないそうです。そこには“あるもの”を巧みに使う手法が隠されていました。
主なプロモーション戦略はYouTubeの公式チャンネル
『YGエンタテイメント』は、YouTubeにアーティスト個々の公式チャンネルをもっていま
す。MV(ミュージックビデオ)はもちろん、出演したバラエティ番組やライブのフル映像
まで全てを公開しています。
知らぬ間に増えたファン、ワールドツアーは超満員
全アーティストの動画は、少なくとも1000万回再生されています。中でもPSYの
「江南スタイル」は“21億回”以上再生され、ギネスにも登録されました。他にも、同事務
所所属の「BIG BANG」も5000万〜1億回再生と、日本国内と比べても再生回数が多いこと
がわかります。
「BIG BANG」のリーダーG-DRAGONは、2012年のワールドツアー終了後、このように
語っています。
“国内だけでなく、海外でBIGBANGを好きになってくださるファンがこれほど多いとは、
想像もつかなかったからです。特に米国や中国の場合は、一度もプロモーションをした
ことがなかったのに、それだけ多くの方々がBIGBANGの公演を観に来たのを見ながら、
今までYGがなぜMVにたくさんお金をかけ、YouTubeとSNSなどのプロモーションに
集中してきたかが分かりました。”
(出典:Kstyle|2013年4月9日17:40 http://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=1966235)
権利に捕われない“オープン戦略”
が成功の鍵を握っている
「YGエンタテイメント」世界進出成功の要因のひとつとして、こうしたYouTubeを活用し
た“オープン戦略”があるのではないでしょうか。同事務所代表ヤン・ヒョンソク氏は、
「放送局の歌謡番組で10週連続優勝するよりも、ネットの音楽配信チャートで10日連続1位
を記録するほうが、更に重要で意味のあること。なぜなら、歌手と歌に対する評価は、
K-POPファンがすることで、その公正な評価は音楽配信チャートの結果から現れるから。」
(Kstyle|2012年8月29日17:43)
と独自の考えを示しています。
一般的には、楽曲やMVの無料視聴は売上を考えるとなるべく避けたいものですが、同事務
所はこの固定概念を壊しました。それが功を奏し、拡散力をアップさせ世界中に広めること
に繋がりました。Web動画戦略を成功させた企業として、今後も注目していきたいですね。