サブカル界の巨匠といえば、「みうらじゅん」と「リリー・フランキー」。そんな二人が出演するトーク番組『みうら&リリーのうすくてゴメン ~相談に答えてない番組~』がYouTubeで無料公開されています。この番組は、みうらじゅんとリリー・フランキーが視聴者の質問に答える、お悩み相談番組。注目すべきは二人の見事な掛け合いで、シンプルな質問でもどんどん会話が盛り上がっていきます。
今回は、動画を見ながら「盛り上がる会話の秘訣」を探ってみようと思います。構成作りなどの参考にしてみは!?
みうらじゅんとリリー・フランキーのプロフィール
《みうらじゅん》
日本の漫画家、イラストレーター。最近は執筆家や評論家、ラジオDJなど幅広い分野で活躍。今ではあたりまえに使われている「マイブーム」という言葉や、ふなっしーやくまもんでおなじみ「ゆるきゃら」というワードも彼が生み出した。
《リリー・フランキー》
元々はイラストレーター。今は執筆活動や作詞作曲、構成作家などもやりながら俳優としての顔も持つ。代表作に『おでんくん』や『東京タワー』などがある。
まずは見てみよう!
『「みうら&リリーのうすくてゴメン ~相談に答えてない番組~」』
この番組は、視聴者から寄せられたお悩みに二人で答えるというもの。まずは、ある質問に対する二人の解答を動画でご覧いただきましょう。
質問:彼氏が38歳の自称ミュージシャンなんですが、このままつきあっていっていいんでしょうか?(34歳・女性・会社員)
会話の流れを分解してみよう
よくありがちな質問にも関わらず、見事に盛り上がっていますね。それでは会話の流れをひとつずつ見てみましょう。その前に、今回の質問を改めて復習。
質問:彼氏が38歳の自称ミュージシャンなんですが、このままつきあっていっていいんでしょうか?(34歳・女性・会社員)
この質問を聞いて、まず二人がしたことは・・・
38歳のミュージシャンとはどのような人物かを妄想しあう
みうら:38歳だったらそろそろブルースとか入ってるでしょ。柳ジョージみたいな
リリー:ギターのヘッドにタバコとかさし始めるころだね
みうら:みんなが思っているいわゆる「バンド」ではなく、かなり渋い感じになってるでしょうね
このように、「このまま付き合っていいかどうか」を考える前に、妄想を通して「登場人物の設定」をしています(38歳のバンドマンはどんな人間か)。登場人物の設定ができ上がったら、いよいよお悩み解決に入ります。
リリー:女性の年齢的に自分の将来のこと、つまり想像してもしょうがないことを考えてしまうんでしょうね
みうら:でも、想像ってほとんど当たっていないですからね
リリー:現実は想像を越えますからね。将来を考えて別れたとしても、その後に彼がヒット曲を出すかもしれない
話の流れがガラリと変わりましたね。ここからは、再び“妄想を交えながら”解答を導きだしていきます。
みうら:38歳が組んでるバンド名って何だろうね。それによって今後付き合っててもいいか変わってくる気がする。38歳で『バージンキラー』とかだったらキツイもんね
リリー:でも38歳でバンド名を考えたわけではないからね。きっとこの彼はバンドメンバーと仲がいいと思うんだよ
みうら:おぉ、そこまで妄想しちゃう?
(中略)
みうら:たぶんさ、バンドのやつ丸坊主だよね
リリー:でね、ドラムのやつは最近“無農薬野菜”にハマってる
こんな感じで、バンド名やバンドメンバーの妄想を膨らましながら、「このまま付き合ってもいいか」について考えていきます。そして、最終的に二人が出した答えは『大丈夫。売れるよ』。会話が盛り上がりすぎて一見話が散漫しているようにみえますが、きちんと解答を導きだしています。
では、会話を盛り上げるポイントをまとめてみましょう。
盛り上がる会話のポイントは「登場人物の共通認識」と
「ひとつのワードから妄想を膨らませる」こと
1、妄想をして、会話の「登場人物」の人間性を特定する
共通の友人や知人の話をするときは最初から話が盛り上がりますよね。それと同じで架空の人物や知らない人についても、その場で“一緒に”人間性を特定してしまえば「共通項」ができあがり会話をしやすくなります。今回の場合は、38歳のバンドマンがどんな人かを考えていました。
2、お互いの発言から気になったワードをピックアップし、次の妄想を展開していく
よく「今日はいい天気ですね」や「その服かっこいいですね」など目に止まったものを口にすることってありますよね。彼らはそうではなく、相手の口からでた“ワード”を元に話を展開しています。目に入ったものではなく、相手の発言に注目し、気になるワードが見つかったらそれを通して妄想を膨らませてみましょう。
今回は「お悩み解決」というテーマがあったので、それに沿った妄想を展開していましたが、日常会話では特に意識をする必要はありません(もちろんケースバイケース)。気になるワードがあったらそれをピックアップし、ただひたすら妄想を繰り返してみましょう。
動画を見るときは、1度目は純粋に楽しんで。2度目は会話の内容に注視するといろんなことが見えてきます。普段何気なく見ている動画も、見方ひとつで教科書になるというのはおもしろいですね。
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