写真だけでなく動画も普及し、またスマホや携帯にも高機能のものが標準で搭載され、あらゆる場所で活躍する現代のカメラ。意外にも、カメラの元となる原理は遥か古代の時代から発見されていたようです。
現代のカメラの原点“暗い部屋”
紀元前の古代ギリシャや中国で既に記録されていたという、”穴を通った光が逆さまの像を映す”現象について、10世紀頃から本格的に研究を進めたのがエジプトの物理学者・数学者であり哲学者でもあるイブン・ハイサムでした。
その研究の一環で日食を観察するために組み立てたのが現代にも繋がるカメラの原点「カメラ・オブスクラ」です。”暗い部屋”という意味のこのカメラ・オブスクラはその後も日食観察などに使用されますが、15世紀になるとレオナルド・ダ・ヴィンチをはじめとした画家が写生に利用するようになります。
またイタリアの物理学者ジャンバッティスタ・デッラ・ポルタが1558年に出版した著書『自然魔術』のなかで、絵を描く際の補助に役立つ器具として紹介したこともあり、これ以後はさらに世間に広く知られていくこととなりました。
カメラ・オブスクラは自然の力を利用したものなので、もちろん現在でも簡単に再現可能です。youtube上には以下の様な動画も投稿されています。
自然の神秘!カメラ・オブスクラを大型トラックの荷台で再現!
“写真”の誕生と発展
16世紀になると、カメラ・オブスクラは小型化されたり、穴の代わりにレンズを用いられるなど進化を始めます。そして1824年、フランスの発明家であるニセフォール・ニエプスが世界で初めて写真として画像を収めることに成功。この時撮影した「ル・グラの自宅窓からの眺め」と呼ばれる写真は8時間もかけて撮影されたようです。
その後の1839年にはフランスの画家ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが「ジルー・ダゲレオタイプ・カメラ」を一般へ発売。これ以後19世紀末まで、写真フィルムは記録媒体として世界中で活躍することになっていきます。
以下は、ダゲレオタイプ制作を実践している動画です。現代のカメラのありがたみが解る貴重な動画ではないでしょうか。
ダゲレオタイプカメラの製作から銀板写真が出来上がるまで
アナログからデジタルへ
近代になって急速に進化し高機能化したカメラでしたが、1975年にイーストマン・コダックの開発担当者スティーブ・サッソン氏によりデジタルカメラが開発されると、それ以後は徐々に記録媒体は写真ではなくデジタルデータが主流となっていきます。
ちなみに1950年代まではイギリス、ドイツ、アメリカが世界市場を牽引していましたが、1970年以降になると日本製のカメラが世界市場を席巻。1984年に開催されたロサンゼルスオリンピックでは、キヤノンが開発したスチルビデオカメラのシステムが投入されました。
21世紀の現在では、以下の動画のように、個人で手軽に動画を撮影しサイトを通じて世界へ公開することも可能となっています。