動画を撮影するならとりあえず覚えておきたい、イマジナリーライン(想定線)という映像用語があります。これは、映像という媒体が鑑賞者を時間的に拘束する類のものであることから、時間を無駄にさせないように、一度見ただけで内容を理解できるよう発明された原則とされています。
ではイマジナリーラインとは、具体的にどのような原則なのでしょうか?
イマジナリーラインとは?
イマジナリーラインとは、対話者2人の間を結ぶ仮想の線であり、その線を基軸にどちらか片方に半円(180度)を描き、そのエリア内にのみカメラをポジショニングし撮影するという作法です。文章だけではわかりづらいでしょうから、以下からは動画による説明を見ていきましょう。
イマジナリーラインの基本
こちらは映画やドラマ、あるいはWeb動画などでよくある2人の人物の対話シーンですが、イマジナリーラインを意識し撮影を行うことでこのように自然な映像に仕上がります。
ではもし、イマジナリーラインを無視したらどんな映像になるのでしょうか。
イマジナリーラインを越えるとどうなるのか
イマジナリーラインを気にせず線を越えて撮影した場合、この動画で再現しているようにショットごとに各人物が右や左に瞬間移動してしまい、鑑賞する側はわざわざその都度、頭のなかで構図を整理しなければならず混乱してしまいます。
イマジナリーラインの応用
実際に動画撮影する際には多種多様なシチュエーションがあるはずですが、その場合、イマジナリーラインはどうなるのでしょうか。
車内でのイマジナリーライン
こちらは、よくある車内での会話シーンにおけるイマジナリーラインです。
グループ対話でのイマジナリーライン
続いては話者が3人いる場合です。この動画のように、対話する人物ごとに構図を理解しやすいショットで撮影します。
机を挟んでのイマジナリーライン
机を挟んで3人が対話するシーンではこのようなショットが基本になります。
イマジナリーラインを越える方法
イマジナリーラインは動画撮影の基本ですが、忠実に意識しすぎてしまうと斬新な映像は制作できません。状況によっては、イマジナリーラインを越えながらも理解しやすい映像を撮影できる方法があります。
イマジナリーラインを越える撮影手法
新しい人物が登場した場合や、カメラを回り込ませながらの撮影、小道具を利用してのライン越えなど、この動画のように状況を利用したり工夫を凝らすことで、イマジナリーラインの基本にとらわれ過ぎない撮影が可能となります。
動画の内容をしっかり伝えるために
視聴者が映像の構図で混乱することなく、その動画の内容自体に集中できるようにするために、イマジナリーラインを意識し撮影を行うことが大切です。ラインを越えて撮影する場合でも、やはり”視聴者にとっての見やすさ”を意識することが重要といえるでしょう。