“和食”がユネスコ無形文化遺産に登録され、東京オリンピックの開催が決まるなど、世界中に日本ブームが到来しています。それだけでなく、安価で手軽に行けることから、国内旅行の人気も高いです。これを受けてか、近年では各県が動画を使って“県の魅力”をPRするケースが増えています。
その手法は、大きく分けて「タレント起用」「コメディ」「観光地映像」の3パターン。
その中で、最も人気の高い動画はどのタイプなのでしょうか。
各県出身のタレントを起用
各県出身のタレントがドラマテイストで県の魅力を紹介します。演技力が高く見応えがあるため、最後まで見てしまいます。認知度が高い人物を起用することで、印象にも残りやすいです。
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香川県 『恋するうどん県』 15,093PV
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香川県出身の俳優「要 潤」が、香川県改め“うどん県”をコメディドラマ風に紹介しています。動画PRの先駆けとなったと言われているだけあって、アイデアもクオリティも抜群です。
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城県 『なめんなよ♡いばらき県THE MOVIE』78,812PV
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茨城県出身の芸人「綾部祐二(ピース)」と「渡辺直美」が、2013年に魅力度最下位に選ばれてしまった茨城県を自虐的に紹介しています。辛辣な言葉を存分に浴びているときの演技力は、俳優も顔負けです。
コメディタッチで描く
タレントは起用せず、特徴のある一般人をうまく利用するパターンです。その代表的な例が、大分県の「おんせん県」。老人たちが、温泉につかりながら県の魅力を伝えています。
大分県 『おんせん県って言っちゃいましたけん!予告編』308,658PV
実はこの動画、公開と同時に炎上してしまいます。温泉地をアピールする各県から「おんせん県はウチだ」とクレームが多発しました。大分県は、動じることなく、むしろ炎上を活用し自虐的な動画を追加公開します。まさに“粋”な対応です。
その動画はこちら。
♦『おんせん県は、パクリなのか?編』
観光地映像
観光名所の映像を、音楽に合わせて公開するパターンです。オシャレなBGMと映像の綺麗さが特徴的です。
“言葉”が一切出てこない分、海外の方にも伝わりやすいと思います。
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佐賀県 『THREE MINUTE TRIP TO SAGA』98,839PV
キーコンセプトは“Avant-garde Country Side(アバンギャルド・カントリーサイド/挑戦する田舎)”。前例や固定観念にとらわれることなく、挑戦し続ける地域であるというメッセージが込められているそうです。
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鹿児島県 『Kagoshima, Japan 4K』678,986PV
「本物。鹿児島県」キャンぺーンの一環として制作されたPR動画は、最新の4Kカメラを使用し、撮影されたそうです。撮影期間、およそ3ヵ月。鹿児島県の“本気”と“本物”が伝わってきます。
ダントツ人気は“鹿児島県”の678,986PV
数々のPR動画をご覧いただきましたが、最も多く再生されているのは“鹿児島県”の678,986PVでした。県観光交流局かごしまPR課の濱田久美子さんによれば、この動画を公開してから『いつか日本に行って実際に見てみたい』などと、アジアを中心に書き込みが増えているそうです。
(出典:KAGOSHIMA Energetic Japan ホームページより)
鹿児島県のPR用に作られたHPも、デザイン性が高く非常にシンプルで、日本語も使われていません。日本語が分からない外国人を意識して作られていることがうかがえます。実際、動画が公開されてから、タイからの来客数が増加したそうです。
県のPR動画の中でも、国内向け・海外向けに作られるもので手法が異なることがわかりました。国内向けに作られた動画で最も閲覧数の高い「大分県」はコメディータッチに、海外向けはデザイン性を重視した観光地紹介動画の人気が高いようです。
ターゲットを意識しながら動画を作ることの大切さが、改めてわかりますね。
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