スラム街、と聞いてどんな風景を想像するでしょうか。
世界には様々なスラム街が存在します。動画で公開されている各地の「現実」をご紹介。
あなたはこれを見て何を感じますか?
ファヴェーラ(ブラジル)
ブラジルの各都市に存在するスラム街は「ファベーラ(ファヴェラ、favela)」と呼ばれています。その語源が棘の多い葉肉植物を意味するとおり、失業、ドラッグ、抗争が絶えない痛みの多い場所。不法居住者がひしめくその地域は衛生や治安が悪く、電気は盗電されたものが使われています。
ご覧いただく動画は、ブラジル最大のファヴェーラ「ホシーニャ」の様子。
首都リオデジャネイロが抱えるスラム街の映像からは混沌としたエネルギーと、そこで生き抜く人々の厳しさが伝わってきます。しかし子供や若者の笑顔から、未来へつながる生命力も感じられるのです。
デトロイト(アメリカ)
2013年に破産宣告した米デトロイト。当時の負債総額は180億ドル(約1兆8000億円)。かつては自動車産業で栄えたその都市は現在、失業と貧困、識字率が極端に低い層が集まる危険な街と化しています。
『8マイル』というエミネムの映画にもなったように、8マイル・ロードと呼ばれる境界から北が郊外、そして南がデトロイト市で極貧地域となっています。
デトロイトで最も危険な区域と題されているだけあって、車の中から撮影している様子がとてもリアル。荒廃した家並みは、かつての裕福な暮らしが想像できる立派な骨組みですが、その分ボロボロになっている姿が痛ましく、とてもここに足を踏み入れる勇気はわきません。
シウダー・フアレス(メキシコ)
シウダー・フアレスはメキシコの都市の1つで、北米最大の砂漠であるチワワ砂漠の中に位置します。世界中で最も発展が早い国の1つとして知られていますが、同時に急速に治安が悪化しており、現在「世界で2番目に危険な場所」とされています。麻薬や誘拐、女性への暴行事件などが多発しているようです。
広大な砂漠地帯に、木材や段ボールで継接ぎした家が低く連なっています。
レポーターが生活の様子を聞いている住民は、どこか覇気のない表情ですが、マリア像を大切に抱えている姿は敬虔にも見えます。
ナイロビ・キベラ(ケニア)
アフリカ最大規模のスラムといわれるキベラ。ナイロビの人口の大多数、100万人が暮らす過密人口地域で、貧困と犯罪がひしめく無法地帯。このスラムを見学する観光用のツアーも用意されているというのが、驚きです。訪れた人々のレポートには、その地域全体がゴミ溜めのような状態で悪臭がひどく、人々は哀しい目をしているという報告がありました。
キベラの多様な情景と、それを描写する言葉で構成されたドキュメンタリー。悲惨さの中にもまだ希望はある、という子供たちや、あるクリスチャンが歌う姿が見る者に現実を訴えています。
キベラを撮影舞台にしたミュージックビデオも存在します。ラップの音楽にのせられた街並みと人々は思いのほか軽やかに明るく見えます。スラムの渦中から沸き上がる声に耳を澄ませてみてください。
スラム、と一口に言っても、先進国では想像しえないような貧困と荒廃を抱えた街が、世界各地に存在するという現実。こうしてまとめて見てみると、自分が生きている環境の豊かさとありがたさを改めて感じるのではないでしょうか。
その地へ行くことができなくても、動画を通して考えられることがありそうですね。
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