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2023.11.30

「バーチャルプロダクション」とは?もうロケ地を探さなくていい!?〜動画事例や活用メリットも紹介〜

最近バーチャルプロダクションについてメディアで取り上げられているのを目にしたことはありませんか?私自身も、耳にする機会が増えました。そんな話題の技術、バーチャルプロダクションについて、気になったので調査してみました!

1 バーチャルプロダクションとは?

バーチャルプロダクションとは、リアルタイムでバーチャル世界と現実世界を融合することで、再撮影や映像編集などの映像制作コストの効率化ができる映像制作の新手法です。
この手法の最大の特長としては、「リアルタイム合成」です。
映像業界で長らく活用されてきた「クロマキー合成」では、①グリーンバックの前で撮影 ②後日、撮影素材を元に背景やCGなどを合成 ③映像の確認… と工程を踏んでいかなくてはなりませんでした。
各工程において、キャスト含め現場にいるスタッフは映像のイメージが共有しにくく、認識のズレや時間のロスが懸念されていました。それに比べて、バーチャルプロダクションでは、リアルタイムで合成されていくため、スタッフはもちろん、クライアントとの確認作業も通常の映像制作と遜色なくプロジェクトを進めることが可能です。

2 バーチャルプロダクションの種類

グリーンバックステージ

映像業界では長年、クロマキー合成が利用されてきました。
グリーンスクリーンベースのバーチャルプロダクションはこのクロマキー合成から派生した技術です。従来技術との違いは、カメラトラッキングシステムとリアルタイムレンダリングエンジンという技術を用いている点です。通常では難しい透明なものの切り抜きやピンボケの描写などをリアルタイムに行うことが可能です。

LEDディスプレイベース

大型LEDスクリーンとインカメラVFXを用いて、撮影する技術です。バーチャルプロダクションの主たる技術で、海外の映画作品やNHK大河ドラマ「どうする家康」でも活用されています。
具体的な仕組みとしては、キャストが演じている後方に、LEDディスプレイを設置、カメラの画角に合わせて背景映像を投影し、キャストと背景映像を同時に撮影するインカメラVFXという手法を用いて、自然な合成映像を制作しています。

パフォーマンスキャプチャベース

パフォーマンスキャプチャベースのバーチャルプロダクションでは、キャストの動きや表情などを、キャプチャーして、リアルタイムでキャラクターに反映、アニメーションとしてバーチャル空間に実現する技術です。
特に注目されているものは「Mo-Cap」という技術です。人間の体の動きや表情を動かしたいキャラクターにレンダリングができるため、キャストの情緒豊かな演技力をそのまま反映することが可能です。
また、この技術で撮影された代表的な作品としては、映画「猿の惑星:新世紀」(20世紀フォックス制作、2014年公開)があります。

3 バーチャルプロダクションの3つのメリット

1:制作時間を短縮できる

ーチャルプロダクションはそのリアルタイム性によって、制作の各工程において、時間の短縮が望めます。キャスト含めスタッフは映像のイメージが容易になることに加え、撮影準備において効率化が望めます。一般的な制作において、映像の構成が決まった後は、ロケハン等の撮影準備が発生します。映像制作において求めるイメージとロケ地とのマッチは欠かせないものです。ロケ地の使用条件や予算、時期などを考えて、ベストを見つけるには時間がかかり課題となっていました。一方で本技術は、1から背景を作り出すため、こだわりのある映像が実現可能です。

2:撮影コストが削減できる

バーチャルプロダクションは、基本的に1箇所のスタジオで撮影が完結するため、移動の必要がありません。そのため、ロケ地の使用料や移動にかかる交通費、ロケ地手配にかかる人件費など削減が可能です。
また、場所や天候の制約を受けないというメリットより、イメージに合うロケ地の使用時間や天候予備日の設定をする必要がなくスマートにプロジェクトを進行できます。

3:撮影困難な場所をリアルに再現して撮影可能

ーチャルプロダクションを用いると、通常撮影が難しい場所を背景として映像撮影が可能となります。
例を出すと、撮影が難しい私有地や宇宙や海底。また、ファンタジー空間などのそもそも現実では撮影不可能な場所でさえ、背景として利用可能です。
また、気候条件も自由自在に変更できるため、時間的制限に縛られることなく、夕日の撮影や雨のシーンをリアルに撮影することが可能です。

4 バーチャルプロダクションの活用事例

ライブ配信事例「Ginza Sony Park presents Creepy Nuts Special Live」

人気ヒップホップチーム、Creepy NutsはソニーPCLのクリエイティブ拠点「清澄白河BASE」にて、バーチャルプロダクション技術を用いて、ライブ配信を行いました。パフォーマンスに合わせて背景を変化させることで、より曲のイメージが伝わります。ライブ配信と掛け合わせることで、バーチャルプロダクションのリアルタイム性を活かした興味深い事例ですね。

映画事例「マンダロリアン

スターウォーズシリーズのスピンオフの「マンダロリアン」ではLEDディスプレイによる合成が使用されています。現実ではない背景をリアルタイム、かつ繊細に合成することで、キャストの演技がより自然にリアリティのある作品になっています。

CM事例「BAYCREW’S STORE EC販促CM制作」

株式会社irepは、高精細大型LEDディスプレイにリアルタイムエンジンを組み合わせた撮影手法「バーチャルプロダクション(LED WALL + In-Camera VFX)」を使用した、国内初の広告映像を制作したことが、プレスリリースで発表されています。
日常に繰り返し流れ、商品・サービスのイメージを作り上げるCMだからこそ、映像には妥協したくないですよね。映像中で夕日を背景にするシーンがありますが、実際にロケ撮影では気候条件を操ることができません。その点、本技術だとその懸念がないため、広告主、制作陣どちらも納得の映像が撮影できて嬉しいですね。

5 これからの動画制作の展望

上記特徴やメリットから、バーチャルプロダクションはCM〜映画まで、長短問わず、幅広い映像作品へと活用が進んできています。
アイルランドの調査会社Research and Markets(リサーチ・アンド・マーケッツ)の発表で、世界のバーチャルプロダクションの市場規模は22年に26億米ドル、その後、27年に51億米ドルに達すると予想されており、今後急成長を予想しているようです。業務においての効率化が問われている中で、映像制作の中でも変革が起こってきているようです。
今後に期待したいと思います!

 

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