テレビで放送されるCMのほかに、インターネット上でのみでwebムービーという形で配信されるCMもあります。それらは企業のイメージを前面に打ち出しており、ストーリー仕立てになっているものも多く見られます。時間としては短いものですが、その中に素敵な物語が詰まっているのです。そのストーリーのシナリオには心温まるものもあり、見ているとほっと安らぐような、思わず笑顔になってしまうような気分にさせられます。今回こちらでご紹介するのは、そんな素敵なシナリオで展開されるwebムービーです。ムービーとしてのクオリティはもちろん、それぞれの企業のイメージも柔らかく親しみやすいものとなっています。
鉄道会社が打ち出すマナーを啓発するムービーCM
JR西日本では、電車の中には乗車している方それぞれに大切な時間があり、それを一緒に乗せているという観点を打ち出しています。本を読んだりゆっくりと考える時間を持ったりなど、それぞれの時間の過ごし方をしている中で、お互いにマナーを守りながら快適な電車の時間を共有しようというコンセプトです。このwebムービーで描かれているシナリオは、実際に電車を利用している方々から寄せられたエピソードで構成されており、CMキャラクターとして起用されている女優・山崎紘菜さんが優しいまなざしで見守るという構成になっています。
このムービーCMの監督には、数々の素敵な映画を撮っているタナダユキ監督を起用し、電車の中で柔らかく流れていく時間が表現されています。
頑固親父がポテトチップスのこだわりを語る
主にスナック菓子を製造・販売している湖池屋から、頑固親子を描いたシナリオのwebムービーが配信されています。今回紹介しているのは湖池屋が発売している「頑固あげポテト」という商品のイメージCMであり、このポテトチップスを作るために頑固なほどにこだわる親子を中心としてシナリオが進められます。この親子の父親を演じているのが歌舞伎俳優の中村獅童さんで、職人気質の親父を好演しています。ムービーでは、海辺にたたずむ頑固親父が子供に「頑固あげポテト」の極意を語ります。その頑固さに子供は尊敬の目を向けますが、そこを通りかかった女性に親父が目を奪われてしまってせっかくのうんちくが半減してしまうというユニークな構成のCMとなっています。
母親を介護する娘との心温まるエピソード
医療用品や介護用品を製造・販売している白十字が制作したwebムービーが、こちらで紹介するものです。このムービーでは、寝たきりになった女性が自分の娘の思い出の品を見ながら、当時のことを傍らにいる女性に語るところから始まります。幼児のときに娘が書いた絵や小学生になって娘にプレゼントされたビーズのネックレス、娘に「こんな子供っぽいものいらない」と言われた弁当包みに、娘の結婚式のときにもらった手紙など。それぞれの思い出を饒舌に語る女性に、傍らの女性はむせび泣いてしまいます。そしてベッドの上の女性は、泣いている女性にふと自分の娘の名前を呼びかけます。寝たきりの女性は認知症を患い、本当の娘の前で他人に語るようにその思い出を語っていたのです。
今回ご紹介したwebムービーは、いずれも心温まるシナリオで素敵なストーリーが紡がれているものとなっています。ほっこりとした気持ちになったり少しくすりとしてしまったり、またほろりとさせられたりなど、それぞれに紡がれたストーリーは見る方の心に優しく染み入っていきます。