「若者が自動車に乗らなくなった」と言われています。「燃料費や維持費が高額」「ほかの交通機関の発達」「娯楽の多様化」など、さまざまなことが理由として挙げられていますが、彼らがつい「自動車ほしいかも」「ドライバーになりたいかも」と思ってしまうような自動車のCMを紹介します。
BMW5台による圧巻のドリフトショー
2014年に公開されたBMW 2シリーズ「M235i」のCM映像です。サーキットではなく白昼のオフィス街で、5台のBMW M235iがドリフトショーを繰り広げます。1台分しかない駐車スペースにドリフトで突っ込んできて見事に駐車する自動車CMが以前ありましたが、5台同時のドリフトショーは滅多にありません。
CGなのではないかと思ってしまうほどの息が合ったドライビングですが、ぼう然と見つめるギャラリーの表情は心の底から驚いているように見えます。またメイキング映像も公開されていて、市街地で実際に撮影されたことが分かります。ここまでのドライビングテクニックを身につけることは難しいですが、「これぐらい運転できたら楽しいだろうなあ」と思わせる効果抜群のCMです。
ゴーン社長肝いりのフェアレディZ
ここ数年の流行りの自動車といえば「ワゴンR」に代表される軽1BOXカーか「プリウス」に代表されるハイブリッド車のいわゆる「エコカー」です。これらの対極にあると言っても過言ではないのがスポーツカーで、燃費の悪さと維持費の高さ、運転の難しさなど、自動車にこだわりがない人々にとっては選択肢の1つにもなりません。バブル景気の崩壊以降、自動車メーカー各社は一様にスポーツカーの開発を取りやめ、エコカーの開発に注力しています。
しかし、このような状況下であえてスポーツカーの開発に着手したのが日産自動車のカルロス・ゴーン社長です。自身が無類の車好きということもありますが、日産自動車の魂ともいえるフェアレディZをよみがえらせることで、低迷にあえいでいた日産自動車そのものをよみがえらせようという姿勢を見せたのでしょう。
そのCMも最近の自動車のCMの逆をいくように、ナレーションも何もなく、写真とBGMだけで構成する潔さ。しかし、フェアレディZの魅力が不思議と伝わるCMとなっています。
http://www.nissan.co.jp/NEWS/CM/
無意識に口ずさんでしまう「ヒノノニトン」
前の2つに比べて新しく、シリーズ化されてリアルタイムで放映されている日野自動車のCMです。ご覧になったことがある方も多いと思いますし、意識して見ていなくても「トントントントンヒノノニトン」というフレーズは耳に残っているのではないでしょうか。
普通の男性役の堤真一と、何かと彼の前に現れる謎の男性役のリリー・フランキーの2人が醸し出すシュールな雰囲気に引きつけられている方が多いそうで、特に小さな子どもたちに人気があるそうです。業務用トラックはこれまであまり注目されていませんでしたが、業務用トラックにあまり関係がない人々に対してアプローチすることで、「誰でも知っている」という雰囲気を作り、売れやすい環境を作ろうとしています。
家族団らんの場で子どもが「ヒノノニトンって知ってる?」と聞けばしめたもの。家族団らんの場で業務用トラックが話題になることなどこれまで滅多になかったことです。その子どもが大きくなり、トラックのドライバーになるかもしれません。
http://www.hino.co.jp/dutro/cm/index.html#gallery
製品と同時にメーカーの姿勢を表現
自動車のCMは製品そのものをPRすると同時に、各メーカーがどのような姿勢で自動車作りに取り組んでいるかを表現しています。つい見入ってしまうもの、何度でも見たくなってしまうCMが多いのはそのためでしょう。これから自動車のCMを見るたびに「ここはクールな映像の使い方が上手いな」「ここはコミカルな作品が多いな」と各メーカーの違いを少し意識してみると面白いかもしれません。